第7回 パート主婦年収増えない現実

こんにちは。庶民派FPの杉本です。

今年の・・・。一体この暑さはなんなのでしょう。

クーラー病には気をつけましょう。

さて今回はパート主婦の収入の話しです。

この数年、パートの時給が大幅にアップしていることを
ご存じでしょうか?

背景にあるのは、最低賃金の上昇と慢性的な人手不足に
よる時給アップです。図(1)は「地域別最低賃金の推移」
で、東京都を例にとると、2002年度は1時間あたり708円
であったのが2017年度には958円。15年間で250円、率に
して約35%も上昇しているとは驚きです。




?時給の大幅アップはパート主婦にとっても、配偶者の夫にとって
も喜ばしいことのはずです。しかし「年収」ベースで見ると、
パート主婦の年収は大きく変わっていないのです。

配偶者控除の改正でパート主婦の年収は上がったか?
まず、「パート収入の壁」問題があります。

多くの主婦は、夫の「扶養の範囲内」で働くかどうか迷っています。
扶養の分岐点となる妻の年収を「パート収入の壁」といいます。

これまで扶養の範囲内で働いていたパート主婦にとってみると、
時給がアップしたからといって、そう簡単に「パート収入の壁」を
越える決心がつかないものです。もったうないことですが、時給が
アップして以降は、働く時間を減らして「壁の内側」に収まるよう
にしているのです。

「パート収入の壁」には、「税金面での扶養の壁」と「社会保険面
での扶養の壁」があります。

税金面での扶養とは、配偶者控除のことです。夫が38万円の配偶者
控除を受けることができる妻の年収の分岐点は昨年まで「103万円」
でしたが、今年度からは改正となり、この壁は「150万円」となり
ました。妻の年収が150万円を超えても段階的にまだ控除を受ける
ことができるので、夫の手取りが急に激減することはありません。

これまで100万円程度に収入を抑えていたパート主婦に、150万円~
170万円を目指して働いてもらうための改正ですが、内容をしっかり
理解している人は少ないため、100万円程度に抑えている人がほとん
どです。

続いて「社会保障の壁」についてです。妻の収入が130円未満なら、
会社員の夫の「社会保険の扶養」に入ることができ、保険料を払わず
に済みますが、その「壁」を越えると妻は夫の社会保険の扶養から
はずれて、自分で年金や健康保険の保険料を払わなくてはならなく
なります。

パート先が大企業(従業員501人以上)なら「106万円の壁」、中小
企業なら「103万円の壁」ということになります。妻が自分で年金や
社会保険料を払うようになると、年収アップよりも支出アップの方が
多くなってしまいます。



パート主婦が社会保険料を自分で払っても損が回復する分岐点は、およそ
153万円(勤務先の社会保険加入の場合)。今の年収が100万円くらいの
人が分岐点である153万円以上働くには、出勤日に1~2時間多く働いた
り、現在週4日のところを週5日にするなどして、働く時間を大幅に増やさないといけません。

子育て等の兼ね合いでなかなか増やすのが難しい家庭の事情があります。

時間や日数を増やせないなら、時給をあげるのが一番です。しかし、
簡単なことではありませんが、自分の得意分野をアピールし、少しでも
存在価値を高めることを目指していきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。
ではまたお会いしましょう。